色素増感太陽電池の作成

 太陽電池は光のエネルギーを電力に変換できる発電装置で、二酸化炭素を排出しない安全でクリーンな発電方法として注目されています。その中でも色素の力を活用した色素増感型太陽電池は、低コスト、高エネルギー変換効率、デザイン性の良さなど他の太陽電池と比べて特長があり、実用化にむけて研究が進んでいます。

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TDKの色素増感型太陽電池(CEATEC JAPAN 2010に出展)

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色素増感型太陽電池をつかった照明器具(東京大学とソニーの共同開発)

色素増感型太陽電池の動作原理

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熱膨張係数(線膨張係数)の算出

  1. 酸化チタン多孔膜に吸着している色素が、光を吸収する。

  2. 色素から電子が酸化チタンナノ多孔膜に注入される。

  3. 酸化チタンナノ多孔膜に注入された電子は、透明電極、外部回路を通って、対極に達する。

  4. 対極の表面で、電子は、電解液中のヨウ素(I2)に渡され、ヨウ化物イオン(I-)ができる。

  5. ヨウ化物イオン(I-)は、光を吸収して酸化された色素に電子をわたし、色素は再生する。と同時に、ヨウ化物イオンは、再びヨウ素(I2)となる。

色素増感型太陽電池を作製してみよう

 植物から抽出した色素と酸化チタンを用いて、色素増感型太陽電池を作製します。色素増感型太陽電池は、色素が光からエネルギーを吸収し、放出する性質を利用した太陽電池です。そのしくみは、植物の光合成に共通する部分が多いといわれています。実際に太陽電池を作製する体験をすることで、太陽電池の発電のしくみや植物のエネルギー生産について学び、 次世代のクリーンエネルギー技術について学びます。

必要な試薬・機材等の一覧

  • 導電性ガラス (酸化チタン用 10 枚、 炭素電極用10 枚)

  • 電解質溶液

  • 酸化チタンペースト (塗布用)

  • みの虫リード線

  • ダブルクリップ

  • 電子オルゴール

  • シャーレ

  • アントシア ニン (赤色色素)を含む植物※

  • ※紫キャベツ約 20g、 乾燥ハイビスカス約 l.5g、 生ブルーベリー約 10 粒等


  • すりばち(色素の抽出)

  • すりこぎ(色素の抽出)

  • 茶漉し(色素の抽出)

  • 水(色素の抽出)

  • 割り箸(色素の抽出)

  • 電流・電圧測定器

  • うちわ

  • フライパン

  • アルミホイル

  • セロハンテープ

  • 新聞紙

  • 軍手

  • 鉛筆

導電性ガラス

 片方のガラス面が電導性の膜でコーティングされており、この面にチタンペーストや炭素を塗ります。 この面を導電面と呼び、導電面の逆側に識別用のテープを貼ってあります。コーティングが剥がれると実験に失敗しますので、導電面表面はできるだけ指や物などで強くこすりつけたりしないよう気をつけてください。また、ガラスの縁で怪我をする恐れがありますので、取り扱いには注意して下さい。

酸化チタンペースト

 酸化チタンの粉末と、溶媒が混合されたものが入っています。全体が均ーになるように数回転倒混和してから使用して下さい。使用後は乾燥しないようにふたを閉め、常温にて保管してください。 なお、眼に入った場合は水で数分間注意深く洗い、医師の診断、手当てを受けてください。

電解質溶液

 主成分はヨウ素溶液です。 目や口に入った場合はよく水で洗い流し、不快感が残る場合は医師に相談してください。皮膚や服に付くと色が落ちにくいので実験の際は汚れてもよい服装で実験をしてください。

準備①導電性ガラスに酸化チタン膜をつける

  1. 酸化チタンペーストの容器をゆっくりと転倒混和する。

  2. 導電性ガラス 10 枚を新聞紙の上に取り出す。導電面識別用のシールを剥がし、ガラスの導電面を上にする。

  3. 透明電極5枚を密着させて並べて、図のようにセロハンテープで電極の左右をまとめてとめる。

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テープで固定した導電性ガラス

  1. 3のガラス上に、酸化チタンペーストを薄く均ーに塗る。酸化チタンを広げる際は、セロハンテープ程の厚さに、定規の端などを利用して広げる。

  2. ガラスを固定したセロハンテープをはがす。

  3. フライパン全体にアルミホイルを敷いて、中火にかける。

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酸化チタンペーストを導電性ガラスに塗った様子

  1. 3分ほど加熱したのち、酸化チタンを塗った面を上にしてフライパンにのせて10分間加熱する。

  2. 火を消して、焼付けた電導性ガラスをピンセット等でアルミホイルごとフライパンから取り出し、室温で時間をおいて冷却する。

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注釈

白い酸化チタンペーストの膜は一度、 茶色く変色し、再び白くなるまでしっかり焼く。煙が出るのでよく換気しながら行う。

注釈

焼きつけた導電性ガラスは非常に熱くなっているので、一定時間フライパンの上で冷ましたのち、火傷に注意して軍手などを用いてアルミホイルごと新聞紙の上に取り出す 。

準備②導電性ガラスに黒鉛をつける

  1. 導電性ガラス10 枚を取り出し、導電面識別用のシールを剥がす。ガラスの電導面を上にして置く。

  2. 上にした面に鉛筆で面をすべて塗り、黒鉛で電導面を覆う。

実験手順

 紫キャベツから色素を抽出して色素増感型太陽電池を作製するプロトコルを説明します。

注釈

2人1組で行う場合のプロトコルです。

色素の抽出 (紫キャベツ)

  1. 紫キャベツの芯など白い部分を取り除き、紫色の葉の部分をはさみで細かく(5mm 角)切る。

  2. 葉をすり鉢に移しすりつぶす。水を徐々に加えながらすりこぎで葉をすりつぶす。

  3. 十分にすりつぶし紫色の液(色素液)を得たら茶漉しでこしながら、シャーレに色素液を移す。

色素を酸化チタン膜に吸着させる

  1. 色素液に酸化チタンが塗ってある面を下向きにして導電性ガラスを入れる。

  2. 導電性ガラスを色素の中に静置して、20 分間色素を吸着させる。

電池を作製する

  1. 机の上に新聞紙を広げ、導電性ガラスの両端がのるように幅をあけて、割り箸を平行に並べる。

  2. シャーレからガラスを取り出し、割り箸の上に並べる。

  3. 導電性ガラスについた水分を、ドライヤーやうちわを利用して乾かす。

  4. 酸化チタン膜の上にヨウ素溶液を2滴のせる。

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ヨウ素液を滴下し、ガラスを重ねる

  1. 黒鉛を塗った導電性ガラスを、黒鉛を塗った面が内側にくるようにして、図のようにずらして重ねる。導電性ガラスを重ねた際に、ヨウ素液が漏れる場合は、キッチンペーパー等でふき取る。

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クリップでとめた導電性ガラス

  1. ダブルクリップで端をとめる。このとき、クリップでとめる面積はできる限り小さくして光が当たる面を広くする。

色素増感型太陽電池をつなげる

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クリップでとめた導電性ガラス

  1. 2枚のガラス(炭素+極、酸化チタン一極)に、 みの虫リード線をつける。

  2. 5 個の電池を直列につなぎ、オルゴールとつなげる。

注釈

プラスとマイナスを間違えないように注意する。

結果・考察

 完成した色素増感型太陽電池に太陽光やレフランプ、蛍光灯等の光を照射し、オルゴールが鳴るという現象を体験できます。

 太陽電池や色素増感型太陽電池のメカニズムについての講義と組み合わせて理解を深めることが可能です。また、自分の班のデー タと他の班のデータを比較することで、どのような条件にデータの違いの要因があるかを考察しましょう。

  1. 数種類の植物サンプルを用いて、レフランプで光を一定に照射することで、どのような色素が効率よく発電するかを比較、考察することができます。また、レフランプで発電できない場合でも、太陽光で発電を確認できることがあります。この場合は、可視光 における波長の違いについて考察することができます。

  2. 1 種類の植物サンプルを用いた場合は、光の条件を比較することで、光を照射する量、角度など、どのような条件が効率よく発電するかを比較し、光の条件について考察することができます。

片付け

  1. 使用した導電性ガラス(酸化チタン用、炭素用)は、水洗して風乾し、保管してください。ガラスの縁で怪我をする恐れがあるので、取り扱いには注意して下さい。

  2. 余った試薬類は再利用します。(廃棄する場合はすべて普通ゴミとして廃棄可能)

  3. 使用したシャーレは再利用します。(廃棄する場合はプラスチックゴミとして廃棄)

機材の再利用について

 導電性ガラスは、繰り返し使用することが可能です。酸化チタンを塗ったガラスに関しては、洗浄後余った酸化チタンペース トを用いて再度焼き付けを行ってください。炭素電極については、炭素が薄くなったら、事前準備に記載したように鉛筆で再度黒く塗ってください。