6. 多元系等温状態図の計算

 基本的な操作は二元系状態図と同じです。 ここでもモジュールごとにこれまでとは異なった点を中心に説明して行きます。

6.1. POLY_3 モジュール

 当然のことですが,多元系になるほど自由度が増えるので,その分 SET_CONDITION コマンドで設定しなければならない条件も増えます。 例えば Fe-Cr-Ni 三元系を考える場合,N,P,T と Fe,Cr,Ni の三成分のうちどれか二つの濃度を設定します。 また SET_AXIS_VARIABLE コマンドでの一軸,二軸は共にこれらの濃度をとります。 後は 2 章 【合金状態図の計算手順】 と同様,まず一点計算をし,MAP コマンドで計算します.

6.2. POST サブモジュール

 POST サブモジュールではグラフを直交座標で描くのがデフォルトとなっています。 そこで三元系等温状態図を描く場合には,組成三角形 (Gibbsの三角形) と呼ばれる三角座標で描くことを TC に指示する必要があります。 このためには SET_DIAGRAM_TYPE コマンドを使います。:

POST:  S-D-T      [SET_DIAGRAM_TYPE]
TRIANGLAR DIAGRAM  ( Y OR N )  / N /:  Y           ← 三角座標を用いる
PLOT   3:RD AXIS  ( Y OR N )  / Y /:                          ← 三角形の第三辺を描く
CLIP ALONG   3:RD AXIS  ( Y OR N )  / Y /:             ← 三角形外は描かない
-   -   -   -   -   -   -   -   -   -   -
→ 短縮形 POST:  S-D-T  Y , , ,

 また共役線 (tie line) を描きたいときには SET_TIELINE_STATUS コマンドを用います。:

POST:  S-T-S      [SET_TIELINE_STATUS]
PLOTTING EVERY TIE-LINE NO  / 0 /:  2
-   -   -   -   -   -   -   -   -   -   -
→ 短縮形 POST:  S-T-S  2

ここで "PLOTTING EVERY TIE-LINE NO" ( "NO" は "No." ) は共役線を描く間隔を決めるもので," 0 "(ゼロ) は共役線を描きません。 "1" はすべての共役線を描くのに対し、上例の "2" は一つ置きに描きます。 "PLOTTING EVERY TIE-LINE NO" を "1" としたときの共役線の間隔は POLY_3 において SET_AXIS_VARIABLE で設定した間隔に依存します。 ただし,計算間隔は計算中に動的に変更されるので,共役線は必ずしも一定間隔にはなりません。